先輩からのメッセージ/越村 英世
当院が生んだ初の臨床研修医?
越村 英世(平成19年3月修了、平成19年4月金沢大学医学部附属病院麻酔科入局)
平成16年度より初期臨床研修が義務化され、医師になって最初の2年間で、内科、外科、救急麻酔、小児科、産婦人科、精神科などを必ずまわることになりました。これまでは(特に県内では)主に大学が初期研修医の研修先だったのですが、3年前から県内でも10近い病院が初期研修医を受け入れています。当然、1年目の4月からいる研修医は患者さんの採血や指示だしをしたことは無いはずで、ラクテックやヴィーンといわれても何のことかわかりません(ただし、乳酸加リンゲルといわれればわかります)。私も最初は点滴1本オーダーするにしても、副作用がないか、量は適切か、1時間くらい調べてオーダーした気がします。というわけで、この2年間、病院の皆様には多大なご迷惑をおかけしたことと思います。ごめんなさい。しかしながら、こちらから見ると、この病院は私の期待をほぼ裏切らない病院でした。指導医の先生方のみならず、検査スタッフや看護師の方々からもご指導・ご助言をいただき、非常に勉強になりました。ですから、これからも、研修医には皆様から遠慮なくご意見を言っていただければよいかと思います。2年間お世話になり、どうもありがとうございました。
少しお恥ずかしいタイトルにしてしまいましたが、ある意味事実なのでこうさせていただきました。実際のところ、医師免許を取り立ての研修医が当院に勤務することは以前からあったようで、金沢大学からのいわゆるたすきがけ(現研修医では横川先生がそうです)の若林先生や、もっと前では循環器内科の阪上先生(現金沢医療センター)も。当院は病床数約300床で、臨床研修病院としては小さいほうだと思います。研修医の人数も少ないほうです。大病院ほど専門の科が充実しているわけでもありません。しかし、そこが初期臨床研修病院としての強みなのではないでしょうか?患者さんは自分の疾患にあった病院に自らくるわけではありません。Common Diseaseを中心に数多く初期診療にかかわり、問診、身体所見、検査を適切に行い、トリアージできることが初期臨床研修では重要と考えます。もちろん、症例によってはそのまま入院治療も担当します。外科では鼠径ヘルニアや虫垂炎の執刀医となります。最初から重症とわかりきっていたら、だれでも大きな病院を選び、専門医の治療を希望するので、研修医の手のだせる隙間はあまりありません。当院は大病院でもなく、研修医の数も多くないので、やる気さえあれば多くの症例に触れることができ、救急初期治療から退院までを指導医のバックアップの下で経験できます。指導医だけでなく、検査スタッフや看護師も経験豊かで、頼めばさまざまなことを教えてくれます。自由選択枠では、希望により大学病院で研修することも可能です。初期臨床研修としては十分な環境は整っています。あとは研修医のやる気次第です。
正直、この病院を臨床研修先としては当初は考えていなかった(一緒に受けた同期は「この病院を一次志望にする人なんかいるんですかねえ」とまでいっていた)。しかし、学生のときの実習の受け入れがとてもよいと感じ、また研修医も少なく、かわいがってもらえるかなあと考えここにした。
他の大き目の病院は、特定の先生はとてもよかったのだが、基本的にコメディカルは冷たかった。ある雑誌で、「学生実習の医学生は邪魔者でしかないと感じられている」との記載があったが、まさにそんな感じだった。
今考えれば、指示も出せない医者の卵がちょろちょろしていると邪魔に感じるかもしれない。しかし、ちょろちょろしている学生ほど、何かをつかもうとしているかもしれないと思うのですが・・・
研修が始まったときは、研修医が3人しかいなかったが、期待通り先生方やコメディカルの方々がいろいろ教えてくれた。看護師、検査技師の方々からさまざまなノウハウを教えてもらい、重宝した。3次救急ではないので、わかりきった重症はあまりこないが、隠れた重症や、心カテ適応になりそうな胸痛はわんさかきたのでトリアージの勉強にはなったかなと思う。