臨床研修プログラム

研修目標

公立松任石川中央病院は白山市・石川郡地域における地域医療のセンター的役割を担い、「信頼と安心の医療」の提供と「医療水準の向上」を職員が目指すことを病院の基本としている。

当院の目指す医療は、地域でニーズの高い医療を提供することであり、

  • 高度先進医療
  • 救急医療
  • 地域医療支援(開放型病床40床、大型医療機器の共同利用)
  • 予防医学(未病対策)
  • 安全な医療
  • 地域包括医療への協力

が主な柱である。なお学会の教育認定/関連施設として15学会から認定されており、また大学の教育関連病院として、医学部学生、卒後研修医を受け入れてきている。

当院の初期臨床研修の基本方針は臨床医としての必要な基本的知識・技術や姿勢・態度の修得であり、以下に研修の基本目標を定める。

  1. 医師としての基礎的知識、技術を幅広く修得
  2. プライマリ・ケア、救急医療の実践
  3. 患者中心の全人的医療の実践
  4. 安全医療の実践
  5. 病理学的検討からの医療の振り返りと医学への貢献
  6. 保険診療の理解、保健・医療・福祉の包括的研修

初期臨床研修で定められている研修後、さらに希望する診療科目の研修が行えるように選択科目も設けてある。

研修計画

1.研修内容および到達目標

  • 一般目標、行動目標を設定する
  • 経験すべき症状、病態を明示する(経験目標)
  • 研修内容は、共通研修と診療科別の研修

からなる。共通研修は診療科に関係なく、医師として身につけておくべき事項であり、研修期間を通して研修する。各診療科特有の症状および病態はローテーション中に研修する。

2.研修科目

  • 必修分野:オリエンテーションも含め内科、外科、小児科、産婦人科、精神科、救急、地域医療、一般外来研修
  • 選択科目:研修医の希望する診療科

診療科により協力病院などでの研修になることもある。

3.研修期間・スケジュール別

医学部卒業後の2年間(医師国家試験合格者)

1年次 内科 36週以上[26週相当:(救急隊対応1.5日/週×32週)+(一般外来(ダブルカウント)4週]
救急(麻酔科) 4週(+9.6週相当)、必須分野 12週
2年次 地域医療 4週、必須分野 4週
2年次後期 研修医の希望する診療科(複数も可)、金沢大学での研修も可

ローテーションの内科以外の診療科は同一科に複数の研修医が同時に重ならないようにする。産婦人科分野での必修分野研修のため2年時に2週間以上、協力施設(恵愛会松南病院)にて研修。

4.各診療科の研修内容

A.内科

  • 一般内科
  • 消化器内科
  • 循環器内科
  • 呼吸器内科
  • 内分泌・代謝内科
  • 腎臓・高血圧内科
  • 膠原病・アレルギー内科
  • 神経内科
  • 血液内科
  • 放射線科
  • 核医学科
  • 内科救急

B.救急

  • 初期
  • 二次
  • 三次

C.外科

  • 一般外科
  • 消化器外科
  • 呼吸器外科
  • 内分泌・乳腺外科
  • 外科救急

D.麻酔科

  • 麻酔管理

※ 各科研修でも随時対応する

E.小児科(一部協力施設)

  • 一般小児科(common disease)
  • 小児アレルギー
  • 内分泌・代謝
  • 消化器疾患
  • 呼吸器疾患
  • 小児救急

F.産婦人科(協力病院)

  • 正常妊娠・出産
  • 異常妊娠
  • 異常出産
  • 産褥期疾患
  • 不妊
  • 月経異常
  • 腫瘍性疾患
  • 炎症性疾患
  • 産科救急

G.精神科(一部協力病院)

  • 精神科疾患
  • 心身症など境界疾患
  • 痴呆
  • 薬物依存
  • 精神科救急

H.地域医療(協力病院・施設)

  • 一次医療(common disease)
  • 在宅医療
  • 施設での介護
  • 一次救急
  • 地域保健

I.選択科目(科目により協力病院で研修)

上記A~Gの他に下記の診療科

  • 整形外科
  • 脳神経外科
  • 泌尿器科
  • 眼科
  • 耳鼻咽喉科
  • 皮膚科
  • 放射線科/核医学科

 

6.研修の場

  • 基幹型研修病院は公立松任石川中央病院とし、協力病院・施設と研修病院群を形成する。
  • 協力病院として 金沢大学附属病院、石川県立こころの病院
  • 地域医療の研修協力施設として
    公立つるぎ病院、吉野谷診療所、池田病院、長尾医院、むとう小児科医院、珠洲市総合病院、公立宇出津総合病院、市立輪島病院、公立穴水総合病院
    ※他に保健分野(その他)として石川県石川中央保健所での短期研修(1W程度)も可

7.研修医の定員数(各年次)

各年次 2名

指導体制

1.研修プログラム責任者

柿木 嘉平太(公立松任石川中央病院 副院長)

  • 研修プログラムの原案を作成する。
  • 研修期間を通じて、各研修医の目標達成状況の把握と管理を担当する。

2.研修管理委員会

構成

  • 病院管理者(委員長)
  • 研修プログラム責任者
  • 病院事務部門
  • 協力病院研修責任者
  • 協力施設研修責任者
  • 病院研修指導医:内科、外科、麻酔科、精神科、産婦人科、小児科、救急

役割

  • 臨床研修プログラムの全体的な管理・検討を行う。
  • 研修医の採用と全体的な管理および研修状況の評価を行う。
  • 研修が適切に実施されるために具体的な援助、指導を行う。
  • 研修終了の認定、研修後の進路等についての相談・支援を行う。
  • 研修に適性を欠く場合、あるいは研修継続が困難な場合にはそれまでの研修評価を行い、研修中断を勧告する。研修が不十分と判断した場合、研修の延長を勧告する。

3.指導医

資格

  • 各専門学会の専門医、指導医などの資格を有する。
  • 各専門科において7年以上の臨床経験を有する。
  • 指導医として、臨床医として、十分な資質とリーダーシップを有する。
  • 厚生労働省認定の指導者講習会を受講している。

役割

  • 研修医の研修到達状況を把握し、直接指導援助する。
  • 実際の研修には指導医、指導助手(病院スタッフ)、研修医でチーム医療を行う。
  • 医療の安全に十分配慮し、かつ研修医の健康状態にも配慮する。
  • 研修委員会に各研修医の達成状況を報告する。
  • 研修プログラムを検討し、適正なプログラムを提言する。

4.病院管理者

研修修了書、あるいは研修中断書、研修未修了理由書を交付する。

研修記録および評価

1.研修記録

研修医は、プログラムに基づき、自己評価をし、研修目標の達成度を点検する。指導医は医療チームの意見を参考に研修内容を評価し、適切に目標達成の援助をする。臨床研修委員会はこれらを点検し、研修の指導資料として保管する。

*診療録は指導医や診療情報管理士の協力と助言のもと症例毎に診療録を完成させ、病院と別に症例サマリーを保管し、自己の研修の振り返りに利用する(ポートフォリオ)。

2.研修の評価方法

指導医は研修期間中に形成的評価として、医師としての「基本的価値観:評価票Ⅰ」「資質・能力:評価票Ⅱ」「基本的診療業務:評価票Ⅲ」を研修医評価票Ⅰ、Ⅱ、Ⅲを用いて評価を行い研修医に対し、年2回以上の評価フィードバックを行う。

①基本的価値観の評価内容

  • 医師の社会的使命を理解した上で医療提供をしているか
  • 患者の価値観に十分配慮して診療を行っているか
  • 医療の専門家として生涯にわたって自己研鑽していく能力を身につけているか

②資質・能力の評価内容

  • 医学、医療における倫理性
  • 医学知識と問題対応能力
  • 診療技能と患者ケア
  • コミュニケーション能力
  • チーム医療の実践
  • 医療の質と安全の管理
  • 社会における医療の実践
  • 科学的探究
  • 生涯にわたって共に学ぶ姿勢

③基本的診療業務の評価内容

  • 一般外来診療
  • 病棟診療
  • 初期救急対応
  • 地域医療

3.研修の休止

研修期間中の休止期間は90日を限度とする。90日を超える場合は未修了または中断と判断する。未終了の場合は、90日を超えた休止日数分以上の日数研修を行うこと。中断は研修委員会の中断勧告又は研修医の申出を受け、プログラムの再開を検討する。

4.研修終了の認定、証書の交付

研修管理委員会は研修医の自己評価、指導医の形成的評価および「臨床研修目標の達成度判定票」をもとに、目標が達成されていると判断した場合には研修修了書の交付を認定する。

その他

1.施設概要

金沢市の南に位置し、白山市、石川郡の医療の中核として機能し、地域での医療ニーズに応える医療を提供している。一般病床275床、精神科病床30床の病院で、30診療科を有し、毎月600人の入院患者を受け入れている急性期型の病院であり、高度先進医療、救急医療、地域医療支援としての病診連携など、地域に密着した患者中心の医療を提供する医療機関である。また総合健診センターを併設し、毎年7,000人を超えるドック検診を行っており、予防医学にも力をいれている。

  • 図書:文献検索はインターネット検索が可能
  • 病理解剖:解剖室あり
  • 病歴資料:診療情報管理士が管理
  • 財団法人日本医療機能評価機構による評価を受けている。

2.研修医の処遇

  • 身分:臨時職員
  • 社会保険、厚生年金、労災保険、雇用保険適用
  • 給与:一年次 年600万円(見込) 出来高手当を含め平均月48万円 賞与年2回
  • 手当:宿日直手当、時間外手当、住宅手当、通勤手当等諸手当は職員に準ずる。
  • 住居:敷地内医師住宅に優先的に入居。自己負担なし。
  • 病院内:他の病院勤務医師と同様、医師室を利用する。
  • 賠償責任保険:個人が任意で加入する。

3.研修プログラムの公表と研修医の募集

  • 厚生労働省の臨床研修制度に従う。
  • 研修プログラムは全国の医学系大学に案内し、また病院のHPに公表する。
  • 研修医の募集は公募と厚生労働省のマッチングシステムによる。

4.研修修了後の進路

研修修了者は当院を含め就職希望病院あるいは大学等の専門プログラムなど関連機関へ推薦する。