先輩からのメッセージ/中西 庸介

『診療部付け研修医!』

中西 庸介(平成20年3月修了)

3月某日、僕はパソコンに向かいながらこの2年間を振り返っております。達成感と寂しい気持ちと春からの新生活への気持ちとが入り混じっており、正直なところ感想と言われてもすぐに出てこないのが本音です。そんな事言っていても感想文にならないので、断片的ですが感じたことをツラツラと書いてみます。

僕は初期臨床研修病院のマッチング時には3つの病院の試験を受けました。他の2つは研修医の数が多く地域医療に力を入れている病院(プライマリケアと言えば地域医療かという気持ちでした)で、当院は学生の時に実習に来た際にスタッフの感じも良く働きやすそうな所だなという印象と研修医の先生の話を聞いて決めました。思えば、当院を決めた理由はインスピレーションが大部分であったような気がします。ただ、この2年間働いてみて分かったことはスタッフに対するイメージは、学生の時とほとんど変わりがないということです。院内の雰囲気というのは外部の人に対する対応においても垣間見えるものなのだと思います。しかもスタッフの数が多すぎず、顔と名前を知った上でコミュニケーションを取れる環境というのは非常に働きやすい環境だったと思います。当院の研修は研修医の人数が少ないというデメリットがありますが、その分上級医やスタッフから丁寧に指導してもらえて、必要とされる立場にあるというメリットもあったと思います。他の科にいても、忙しい時にはちょっと手を貸してなんてこともありました。研修医をして初めて分かったことですが、勉強するモチベーションが一番高くなるのは任された時や自分しかやる人がいないという状況(正直カンファや発表はあまりノリ気ではありませんでした)であったと思います。そして、その結果として人から喜ばれた時に勉強して良かったと思いますし、次へのモチベーションになりました。

ここからは、僕の勝手な考えですが近年良く言われるチーム医療という言葉ですが、これはお互いの役割を認めて必要とし合うことだと思いますが、そこにはお互いの利害関係に多少目をつぶれるほどの信頼関係が必要だと思います。その原点は必要とし、必要とされ、喜び喜ばれということではないでしょうか?そういう意味ではこの臨床研修という制度は科や部署を越えてコミュニケーションを取ることが出来て、中立的立場にある研修医がその醍醐味を味わえる最たるものだと思います。臨床研修制度に関しては賛否両論多々あると思いますが、この制度はチーム医療を促進する制度であると僕は思います。そして、当院のような雰囲気の良い職場環境において研修を出来た事は貴重な経験だったと思っております。

内科で稀な症例を担当して大学の神経内科にプレゼンテーションをしに行った事や、外科で上級医の先生の指導の下に執刀させて頂いた事、麻酔科での挿管の経験が救急の現場に活きた事、選択枠で耳鼻科を3ヶ月間大学で研修した事、産婦人科で出産を多数経験出来た事、精神科で認知症の患者さんを1ヶ月間診察(というかお喋りでしたが)した事、小児科での点滴と格闘した事、地域医療で訪問診療や訪問看護を数多く体験出来た事など色々な思い出を語るとキリがありませんが、そういった中で上級医の先生から頂いた心に残る言葉はずっと忘れないと思います。数ある言葉の中で一つだけ紹介させて頂きます。

『研修医は検査や診察に対して常に労を惜しまないという事が重要!』

楽をしようとした時にこの言葉が思い出されます。それでは、パソコンの前でサボらずに勤務へ戻ります。2年間本当にありがとうございました。